迫る物理的距離。埋まらない心理的距離。
社会人も早3年目に入ろうとしている。
働く前と働いている今とで大きくイメージが変わったことがある。それはITに求められるのはスキルよりもコミュニケーション能力だということ。中途採用ならスキルの方が大事など状況や立場によっては意見は変わると思うが、現場目線から言うと圧倒的にコミュ力が重要だ。
私が今の業界、ITを選んだ理由はタイピングがちょっと得意だったから。
もちろん業界の将来性も志望理由の要素としては多少あったけど、きっかけはタイピング経験のみ。
私のような考えで業界を選んだ人は滅多にいない。
ITに入る人は、会社が大手だからとか、パソコンが友達とか、営業職が嫌だったからとか、そういった理由で選ぶ人が大半を占めている。
案外、パソコン=友達or営業職が苦手な人が多いという予想は的から外れたものでもない。
私の会社をみていても、会議での受け答えや、後輩への伝え方が下手で当たりが強くなっている場面を見ると、あーこの人コミュニケーション苦手なんだろうなとか思ってしまう人が割といる。
入社前から、ITってそんな人が多いと思っていたから違和感はない。でも職種として求められていることとしてスキルよりもコミュニケーション能力であることは意外だった。
営業などど違い、客先を訪問したりすることはなくデスクワークが多い。だからと言って、コミュ力が要らなくてもいい訳じゃない。むしろめっちゃ大事。打ち合わせだったり、同僚との仕事についてシステム的な会話をする訳だから、内容が難しかったりして、理解が厳しいことが未だってしょっちゅうある。
一般的な営業をされている方もそうだと思うが、相手の意図、要望を汲み取ることが非常に大事だ。システムでは作成を依頼する人と、実際利用する人は違うことがある。ユーザからニーズを聞いて、見合ったアイディアを提供するがシステム屋の言葉で説明してもユーザは表面上のシステムを扱うだけで裏側の詳細なことなんて知らない、知る必要がない。だからこそ相手の状況を見極め、どんな言葉を伝えるかがキーになる。
システムの知識は、実践しないと理解できないことばかり。勉強とかでもよくあるが、システムの勉強は何が分からないのかわからないループに陥りやすい。google先生に聞いたって、回答になってない回答が返ってくるし、ググってもベストな回答が載っていないことが少なくない。
そんな時にコミュ力が大事になる。たとえば上司に質問したら、システムの構成や処理について、パソコンの画面を見ながら指導していただくことが多い。そうするとどうしても物理的距離が近くなる。マウスを持つ私の手と上司の手がぶつかって、”あっっ”、なんてドラマ的な展開は皆無。
冗談抜きで距離が近く、資料を見るためには仕方のないことなんだろうが、新しい子なんかは最初距離の近さに絶対びっくりするだろうなと常々思っている。
そんなこんなで会話する距離が近くなっても、仕事以外の話で盛り上がることはほぼない。でもお伝えしたように、ITの業界でも働く上ではコミュニケーションは必須。
最近の懸念は、世間一般的にマスクの着用は個人に任されるようになったことで、マスクを外して会社の人と接する機会も増えるはずだということ。
私が入社した頃はコロナが既に始まっていたので、会社でマスク着用するのは当たり前の文化だった。社会人になれてきた今になって、さあマスク外してもいいですよと言われても、年の離れた上司たちと話す時にマスクを外すことはないだろう。
仕事を介して物理的距離が近くなったところで、仕事以外の会話をしないし、興味もないのだから心理的距離が埋まることはない。マスクがなくなったって、見えない壁は無くならないのだ。